私ももう40代半ばを過ぎ、人生の折り返し地点となりました。
世間的には立派な中年になりますが、でも私の頭の中はまだ20、30代のままで止まっています。困ったものです。
あらためて私の人生を振り返ってみますと、世の中のきちんとしている40代の皆様方とはかなり違う道を突き進んでおります。
独身で実家暮らし転職ばかりしていて、そして本人は超能天気。こんな困った私を否定せずいつでも温かく見守ってくれていた家族や友人達には本当に感謝です。
おかげさまで、今まで病んだり引きこもったりもせず、何事にも前向きに挑戦し、失敗や成功を繰り返しながらも楽しく生きてこられました。
ただし、私ももう40代ですので、世間一般の理想としている家庭像、人生論を語ることはもはや不可能です。
今置かれている状況でいかにベストを尽くすか、私は何を目標にすればいいのか、そしてどうすれば私なりの後悔しない生き方ができるのか日々考えています。
もし私が、いつまでも一般的な理想像にこだわって永遠に追い求めたとしても、残念ながらとっくの昔にそれが叶わないことは自分でもよく理解していますので、
それなら発想を変えて、多くの人が選ばなかった道を選択するとどうなるのか?人と違うことをしていると悲しい結末を迎えることになるのか?そして、そんな道を突き進んでいる私は可哀そうで不幸な人間なのか。
でも、幸いなことに今のところ私は自分が可哀そうとも不幸であるとも思ったことがありません。
なぜなら、多くの人が経験できなかったことをたんさん経験してきたため、結果的に様々な分野に詳しくなり、今となっては「人生経験が豊富で話が面白い人」と良くも悪くも特別視されることが多くなったからです。
それが、私の存在価値に繋がっていますし元気の源や新しいことに前向きに挑戦できる糧になっているような気もします。
さて、前置きが長くなりましたが、そういう考えもありまた未経験の世界へ足を踏み入れました。
今度は、地域の文化芸術の拠点「公共文化施設」でのお仕事です。
公共文化施設とは、自治体などが運営する博物館、美術館、映画館、劇場、図書館、科学館、プラネタリウム館、公民館、市民会館などの施設をいいます。
これらの施設はよく利用しているという人も多いかと思いますが、その中でも私が勤めることになったところは「市民会館」の部類に入るかと思います。
仕事については、「イベント等の企画・制作・広報」など会館の事業や運営に関することが中心になる業務内容とのことでした。
これまで経験した仕事は、職種は違っていてもほとんどが事務系の仕事で、事務所の中で電話や窓口での接客、事務処理をすることが多かったのですが、
この公共文化施設には「大ホール」があるため、事務的な仕事のほかもコンサートなどの催し物がある時には、会館職員として舞台の裏方の仕事にも携わることになるとのことでした。
入社してすぐ、同僚の男性職員の方から簡単に仕事内容について説明を受けましたが、今まで大ホールの裏側を見たこともないですし、コンサートに行くことはあっても会館職員が何をしていたのかなんて覚えていませんでしたので、説明を聞いてもイメージが沸かずに終始ポカーンとしています。
とくに、私が入社したこの9月は、まだ新型コロナで緊急事態宣言が出ていて会館が休館中のため毎日仕事らしい仕事ができず、実際の現場を見ることもなく日々が過ぎていくので、説明を受けた内容を自分の頭の中でなんとなくイメージするということが続いていました。
でも、10月からは少しずつ「大ホール」を使用したイベントなども入ってくるということなので、今のところは本番の日に備えて「会館職員」としての仕事ができるように周りを見ながら自己学習をしているという状況です。
9月現在の私の仕事ですが、事務所窓口でのお客様対応、チケットの管理、領収書や売上伝票整理などの事務処理に関すること、
また、「貸館」といって外部の人に会館内にある「会議室」や「大・小ホール」などを有料で貸し出すことがよくあるのでその対応手順、
そして、つい数日前には、いきなり大ホールに連れていかれ舞台袖で「影アナウンス」の練習をさせられました。
「影アナウンス」とは何かといいますと、コンサートなどが始まる前まだ幕が上がる前に、「開演中は〇〇をしないで下さいね」と姿は見せず声だけでお客様に注意を促すアナウンスをすることを言います。
業界用語では、略して「影アナ」と言うらしいのですが、小規模なイベントなどで主催者側が「司会者」を用意していない時は、会館職員がこの影アナウンスを舞台袖で行うとのことでした。
このたび私も新米ながら会館職員の一員になったということで、当然のように仕事として「影アナウンス」をやらなければいけない話になりました。
声のプロじゃないので無理だとかなり抵抗してはみましたが、業務命令のような形で、最終的にはやる羽目になりました。
「本日は、〇〇コンサートにご来場いただきまして、誠にありがとうございます。開演に先立ちましてお客様にお知らせとお願いがございます・・・」と。
よく聞くフレーズですよね。ただ、よく聞いはいても自分でアナウンスすることを想定して聞いている人は少ないと思います。
とりあえず雰囲気だけでやってみたら、案の定「もっと口を大きく開けて」「ゆっくり話して」「口角を上げて」「ちょっと大げさだよ」などと本気で駄目だしをされました。
そして、最後には「家でよく練習しおいてね」とその原稿を渡されました。どっと疲れました。
仕事にある程度慣れてきたら、地域の人が喜ぶようなイベントを考えたり、大ホールを使用するイベントの時は舞台装置を操作するようなこともあるとの話でした。
また、年に数回は有名人が来ることもあるので、その出演者対応の注意点などについてもいろいろ説明を受けました。
もう毎日が初めて聞くことばかりで、本当に私にそんなことができるのか不安ばかりが募り、採用面接の時にあんなに威勢よくバリバリ頑張りますと言ったのに、現実を知って日々しょぼくれている今の自分の姿がなんだか少し情けなくもなりました。
でも、今までもそうですが、未経験のことに挑戦する時には毎回必ずと言っていいほど涙が出るほどの「つらい壁」にぶち当たります。
途中で挫折して悲しい思いをしたこともたくさんありましたし、壁乗り越えて嬉しい思いをしたこともたくさんあります。それも私にとってはひとつの経験です。
「やらないで後悔するよりはやって後悔したほうが良い」とよく言いますが、たとえ挫けて辞めることになったとしても、
ここで働いたことをただ後悔するようなことだけにはならないよう、自分なりに全力を尽くして何か一つでも「爪痕」でも残せたらいいなと思っています。
そして、40代独身女性の挑戦はまだまだ続く。
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