公共文化施設を退職してからまだ1週間しか経っていないですが、退職後初めてのアルバイトをしてきました。
初仕事は、プロの演奏家の方々を招いたコンサートのスタッフです。
茨城県は、しばらくコロナ対策で来場者の人数を制限してきましたが、11月以降は、多くの施設で制限を解除してチケット販売をしています。
今回開催のコンサートは、その制限が解除されるか微妙な時期だったため、少し制限しつつも最終的には500人弱のお客様が来場されました。
その日は、近くの商店街でも2年ぶり?にイベント開催をしていて、館内でも、コンサート以外にも別の展示会を開催していたのもあり、
会館の周りには大勢の人達が行きかい賑わっていて、久しぶりに街に活気が戻ってなんだかとっても嬉しくなりました。もっとイベントができるように早くなって欲しいですね。
当日の私のお仕事ですが、いわゆる「表方」と呼ばれる仕事です。
世間の皆さんがよく聞く「裏方」は、舞台の幕よりも奥で働く「楽屋側」の関係者の仕事をいいます。大道具・小道具・衣装・音響・照明等の担当、伝統芸能での囃子方などですね。
それに対して「表方」は、ホワイエ(ホール入口までの広間)や客席において来場者の対応を行う「客席側」の関係者のことを言います。一般的には「フロントスタッフ」や「レセプショニスト」と呼ばれます。
普通は、裏方と表方の仕事を同時にやることはなく担当が分かれています。
「表方」の主な仕事は、公演時において来場されるお客様に対して、チケットのもぎりをしたり客席案内をしたりといったことが中心になります。
また、客席扉の開閉、途中入場者の管理、体調不良のお客様対応、その他会館利用者への対応、トラブル対応、災害時には避難誘導をするなど、常に安全確認を行いながら、終演まで周囲に気を配ります。
それから、開演前の観客のワクワクとした気持ちに水を差すようなことがないよう挨拶やマナー、服装もきちんとしたものでなければなりません。
イメージとしては、一流ホテルのフロントスタッフという感じですかね。実際にそのようにできたかは少し微妙ですけどね。
イベント時は、大勢のお客様に対して常勤の職員の人数では対応しきれないので、その時だけアルバイトを雇ったりすることがよくあります。
今回は、大学生と駐車場警備員がアルバイトで雇われました。私は、会館内部のことをよく知っている人物ということで、大学生数名を取りまとめる表方の責任者になりました。
開演は午後からでしたので、午前中はリハーサルに立ち合い出演者側の対応などをしました。
通常時は、何も置いていないガランとした大ホールのステージですが、本番用にセッティングされた舞台を間近で見たり、音響や照明の様子を見たりするとさすがプロの仕事だなという感じです。
関係者のみが立ち入れる舞台袖から、この様子を見れるという特別感にはものすごくテンションが上がります。
そして、お昼近くに大学生や警備アルバイトの方々が出勤したところで館内の説明を一通りし昼食を食べ終わったら、いよいよ開場の準備です。
ちなみに、今回はアルバイトもお弁当付きです。時給1000円で昼食付きは、なかなかの好待遇ではないでしょうかね。
チケットの「もぎり」ですが、今回はやらないことになりました。今はコロナ対策でおそらくどこの会館でもチケットを目視で確認し、「お客様ご自身で切り取ってください」と言っているのかなと思います。
でも、そのほうがスタッフとしてはかなり楽なので、コロナ関係なくずっとそうして欲しいと内心みんな思っていると思います(笑)
公演が始まってしまうと、表方の仕事はいったん落ち着きます。時々子供が大騒ぎして母親とともに大ホールの外に出てくることがよくあるので、そんな時は、防音がしっかりしている「母子席」へご案内をしたりします。
ちなみに、この母子席。入ってみるとよく分かるんですが、まさにVIPルームという感じの部屋です。
防音効果はもちろんのこと、客席の一番奥のガラス張りになっている小部屋で、誰にも気兼ねすることもなく真正面からステージ全体を見ることができます。
もしかしたら、高いお金を払ってでも座りたいと思う人も中にはいそうですが、残念ながら、(騒いでる)小さいお子さんがいる方しか入れないんですよね。
通常は勝手に入れないようになっているので、その存在を知らない人のほうが多いかもしれません。
そんなことがありながら終演まで会場内の様子をうかがっている感じですが、ただ、悲しいことに、基本的には「表方」は公演の様子をじっくり見ることができないんです。公演中は、事務所や楽屋裏にあるモニターで進行具合をチェックしています。
公演などによっては、ホールの扉(内側)の角に立つか椅子に座って、客席の安全確認も兼ねてホール内に入って観ることもありますが、それも当日の状況で持ち場が決まるので必ず観られるとは限りません。
場合によっては、出演者に背中を向けながら立つこともあるので、本当に好きなアーティストを観たい時には、イベントスタッフはやらないほうがいいかなと思います。普通にチケット買って観客として観たほうがいいですね。
ちなみに、スタッフ(関係者)だからアーティストに会えるかも⁉なんて期待する方もいるかと思いますが、まず無理でしょう。
その業界での経験が豊富な方なら「裏方」の仕事に声がかかるかもしれませんが、一般のアルバイトは、楽屋とか裏方の仕事を任されることはまずありませんので、会館職員にならないと出演者に直接会うのは難しいかもしれません。
ただし、会館職員であっても大物アーティストの楽屋には立入禁止の時もあります。しかも、パートさんは、イベント当日は事務所のほうで作業をすることが多いため、大ホールのほうに近づくことすらありません。意外に有名人に会うのは難しいんです。
コンサートの仕事を少してみたい、ちょっとしたお小遣いを稼ぎたい、楽しそうという軽い気持ちでバイトするくらいがちょうど良い気がします。
本気でこの仕事をしたいという場合は、せめて、そこの会館職員(事業・運営担当)になるか、舞台関係の制作会社に勤めないとこの業界のことは理解できないですし、イベントスタッフ(表方)を何度やっても業界経験は積めないのかなと思います。
一見すると、キラキラと華やかな世界なのでつい憧れてしまいがちですが、現実は、地味で細かいチェックや作業が多く体力勝負の仕事です。個人的な印象では、この仕事は華やかさが1割、地味が9割でしょうか。
とくに舞台関係の担当者は重い機材を運ぶことが多くて、ぎっくり腰&コルセット率が非常に高いようです。
ただ、きつい仕事が多い分、うまくいった時の達成感は言葉にならないくらいだと思います。本当にこの仕事が好きで集まった人達が舞台裏を支えているんだなと思いました。
とういわけで、一日だけのアルバイトになりましたが楽しくお仕事ができました。
このようなイベントなどを開催するにあたって、主催者側(職員やスタッフ)は何が一番大変な仕事なのかというと、やっぱり本番前の準備舞台でしょうかね。
大ホールの点検作業、舞台裏の備品、機材類のセッチング、複数回のリハーサル、広報、チケット販売などが一番苦労するところなので、
本番当日の軽い仕事だけで済むコンサートスタッフのアルバイトは、とってもとっても気が楽でした。怒られないですしね。
そして、公演が終わり、お客様も全員帰って、最後にしっかり給料をいただいて、さて帰ろうかなと思った時に険悪だった元同僚の男性職員がやってきて、
「お疲れ様でした。また何かあればアルバイトよろしくお願いします。」とわざわざ挨拶に来てくれました。
在職中はずっとギクシャクしていましたが、あの時に謝っておいて本当に良かったと思いました。
もうお互いわだかまりもないですし、単発のアルバイトなら私も楽しく仕事ができそうでしたので、即答で「もちろんです」と返事をしました。
こういう業界に興味があって、気軽にイベントの雰囲気を楽しみたいという方には、公共文化施設でのコンサートスタッフのアルバイトもなかなか悪くないですよ。
ただ、基本的には立ちっぱなしの仕事ですので、立ち仕事に慣れていない人や体力がない人は注意が必要ですけどね。
次はいつになるのかわかりませんが、都合が合えばまたお手伝いしたいと思います。
それでは、また。
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