会社員として毎日一生懸命に働いているのに、いつまでたっても生活が楽にならない、お給料は上がっているのにおかしいなと思ったことはありませんか?
それもそのはず、給与から天引きされる社会保険料が年々上がっていますので、単純にその分が差し引かれて手取り収入が減っているからです。
厚生年金(第1種)の料率については、昭和17年時点で「6.3%」だったのに、令和3年には「18.3%」と3倍近い数字になっています。
また、健康保険(協会けんぽ)については、昭和22年は「3.6%」だった料率ですが、令和3年には全国平均で「10%」とこちらも3倍近く上がっています。
また、平成12年からは40歳以上を対象とした介護保険料も給与から引かれていますが、こちらも「0.6%」から「1.8%」と3倍となっています。
これでは、働けど働けど暮らしが楽にならないのは当然ですよね。将来の年金額にも影響するとは言え、老後よりも今を生きることが大変になってしまっては元も子もないという感じです。
そこで、長年、社会保険事務の仕事をしてきた私から、少しでも社会保険料を安くする方法について少しお話していきたいと思います。
現在の保険料を今すぐ安くできるわけではないですが、3月あたりから対策を打っていかないと、また今年もお給料からたくさんの社会保険料を引かれることになってしまいます。
そうならないためにも、誰もが知っておいた方がいいちょっとした節約法だと思いますので、興味がある方はぜひご覧ください。
ただし、この方法をやろうとすると、職場の上司や同僚から冷たい目で見られることもありますので予めご注意くださいませ。
不正行為や法律に違反するような行為ではありませんので、もし職場の理解があれば、この方法をやっていても特に問題はないかと思います。
それでは、さっそく。
まず初めに、「社会保険料の金額はどうやって決まるのか?」ということですが、私たちが「4,5、6月」で受け取った給与(控除前)の額が保険料算出の元になっています。
なんとなく所得税のように前年の収入が影響しているように思ってしまいますが、社会保険料は計算の基準が全然違います。
「4,5、6月」の給与を基準として毎年の保険料を見直し、同じ年の10月の給与からまた新たな社会保険料を天引きするのです。10月が保険料の切り替え月になります。
そうなると、保険料が高くなるのも安くなるのも、その3ヶ月間の働き方がその後の保険料に大きく影響するということになります。
ですので、もし社会保険料を安くしたければ一時的にでも「4,5、6月」の給与を前年よりも下げればいいというわけです。なお、7月からは通常通りの働き方で大丈夫です。
ただ、この方法をすることの最大の難関は、給与を下げるには残業を減らすことぐらいしかできないということです。理想は定時退社でしょうかね。
ただ、どこの会社でも4月前後は繁忙期かと思いますので、もしその方法を遂行しようとすると、給与支払いが「翌月払い」の会社に勤めている場合は、もう「3月」から給料が上がらないように調整していかなければなりません。
でも、なんとか自分の仕事を早く終わりにして定時退社ができたとしても、職場によっては「え、今日も早く帰るの?」なんて少し嫌味っぽく言われてしまうかもしれません。辛いですね。
でも、3ヶ月間それに耐えることができれば、その後の社会保険料は晴れて安くなるという仕組みです。それができるかできないかは職場の雰囲気もあるでしょうかね。
基本的に社会保険料の見直しは、年に一度「10月」だけですので、10月からの翌年9月までの1年間はその安くなった社会保険料が適用されます。
ちなみに、特に意識していないと逆に通常時の給与よりも高く社会保険料が引かれる場合もあります。むしろこちらの人のほうが多いかもしれません。
繁忙期の「4,5、6月」にたくさん働いてしまって、それ以外の月は仕事がなく給料が減ってしまうというパターンです。働いた分がほとんど社会保険料に持って行かれてしまうのでなんとも悲しい話です。
でも、よく職場で「そんなに給料もらっていないのに、なんでこんなに社会保険料が引かれるんだ」と怒り出す人がいますが、残念ながら、計算上はこれで間違いないということになります。
会社員の節約(節税)と言えば、「ふるさと納税」か「iDeCo」くらいしかありませんが、実はこんなところでも地味に節約ができたりもします。
でも、せっかく苦労してやってみたのに、ほんの少ししか社会保険料が安くならなかったなんてこともあるかもしれませんが、
例え、月に数千円であっても1年、5年、10年と長い目でみていけば、それなりの大きな節約にはなるのではないかと思います。
最後に、こんな裏技のような節約法ですが、メリットばかり言っていても後で無責任と言われそうですので、「デメリット」についても少しお話しておきたいと思います。
この方法ですと、もちろん社会保険料は安く抑えられますが、「年金」という老後に受け取ることができるお金を考えた時、
安くなった厚生年金保険料を納め続けている分、当然のことながらそれに比例して年金額も少し少なくなります。
また、社会保険料は年に一度10月しか見直しはしないと言いましたが、例外もあります。
例えば、「昇給などをして大きく時給や基本給などが上がった」「パートから正社員になった」「労働契約に増額の変更があった」などに場合は、随時、保険料の見直しが行われますので注意が必要です。(残業代の増加は問題ありません)
私はそのことを分かったうえで意識してこの方法を取っていましたので、浮いた社会保険料はすぐに使わずに、将来のためにと貯金などに回してきました。
目の前のお得さだけで判断するのか、将来のお得さまで考えて判断するのか、それは人それぞれの生き方や考え方がありますので強制できるものではありません。
ただ、「知らないからやらなかった」のと「知っているけどやらなかった」では大きく意味合いが違ってくると思っていますので、生きていく上での知識の一つとして誰もが知っていても良いのかなとは思っています。
ということで、
もし、この話をもっとよく知りたいという方は、会社の総務担当者になんとなく聞いてみるか、日本年金機構のホームページ「随時改定」で確認してみてくださいね。
ぜひ参考にしてみてください。
それでは、また。
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